2009年9月18日金曜日

キヨセサイクル

外出届をだして10時に病院を出る。
病院が運行している駅までのバスに乗り、地下鉄に乗り継いで、地下鉄の駅から家まで松葉杖をついてたどり着く。

2ヶ月弱ぶりに、自転車と対面。

ハンドルの左側のバーテープが破れて、ハンドルバーのステンレスにも傷がついている。左のブレーキバーはゆがんで動かなくなっており、交換が必要と思われる。左のブレーキバーにつながっているリアのデュアルピボットキャリパーブレーキ本体がホイールにくっついて動かなくなっている。後輪を外そうとしてもフレーキシューがひっかかって外れないので、アーレンキーでブレーキシューを緩めて取り出してから後輪のホイールを外す。サドルも縫い目のところに破れが少し入っている。足がぶつかって破れたものと思われる。
フレームには傷は見当たらない。

前輪と後輪とフレームを車の後部座席に積み込んで、購入したショップに持ち込む。
事故をしたことが恥ずかしくてちょっと躊躇したが、蔑むような気配は微塵も感じなかった。

事故の概略を説明し、修理が可能かどうか、点検を依頼。フレームの外観に異常は無くても歪みなどがあると使えない可能性もあるとの説明を受ける。
点検と修理見積もりを依頼して店を出る。何点かの部品の交換は仕方ないとしてもフレームさえ無事であってくれるよう祈る気持ち。

そのまま、車で実家に向かう。両親が昼食をおえたところだった。
まだ昼を食べてないというと母親がパック寿司を買ってきてくれたのでそれを食べた。
父親は今日も午前中車を走らせていたようす。
声にも力がなく衰えているのが判る。
この23日で廃業届けを出すということ。
「そうしい」と言う。
ぼくが15歳、中学3年生の受験のときに借金をして1階がガレージになっている家に建て替えて35年。
工事中、祖父母の家に寄寓する事になったが、受験生のぼくは家のすぐ近くにあった京都大学専門の私設の学生寮に便宜を図って入れてもらい中学校に通っていた。篤志家の医師が設置していた3畳ほどの学生寮の部屋にはベッドと机があるだけで、トイレも電話も共同のものだったが、いまやワンルームマンションなどに押されてか、その学生寮は今はなくなっている。
あれから35年続けていた個人タクシーの営業の廃業。
最後に使っていた営業用のプロパン燃料の車輌は京都の観光や送迎に47万キロを走ったそうだ。
もう使わないからと、エンジンオイルの缶とタイヤワックスのスプレーを持って帰れとトランクに入れてくれた。

午後3時に病院に戻ってリハビリを受けるつもりだったが、間に合いそうに無いので、帰る時間が遅れることとリハビリをキャンセルすることを伝える。

実家を出て、子供の頃、父親に自転車を買ってもらった店の前に車を止めて店の中をのぞいてみた。
平安神宮の北側、丸太町通りの北側に面する「キヨセサイクル」。
全面ガラス張りの店先は当時と同じだと思うが、記憶にあるより店が小さく感じたのは、子供だったぼくが小さかったかもしれない。当時はたくさんの種類の自転車が並んでいるワンダーランドのように思えていた。家のすぐ近くにあった、油まみれで商用車を修理している薄暗い自転車店とは全く違う明るい印象が爽やかだった。
サイクリングクラブの活動も盛んで、琵琶湖1周とかのイベントもあったように記憶してるが、まだ小さかったぼくは、その当時流行っていたセミドロップハンドルのついた子供用の自転車しかあてがってもらえず、サイクリングに参加するのはもう少し大きくなってからなと言われたことがある。

見覚えのある店主のオヤジさんが、白髪になって横じまのシャツを着て奥の作業場でママチャリを組み立てるのに忙しそうだったのと、松葉杖を突いた客が自転車店に来てもひやかしとしか思われないだろうというのとで店の中に入ることもなく、しばらく、ペニー・ファージングの置かれた店の外からガラス越しに店内を見ていた。

クロモリフレームの自転車を買うならこういう店で最適のフレームをあつらえて組んでもらうのもいいかもしれない。また、寄ってみようと思う。

車を自宅に戻す途中、パック寿司では少なかったために腹が減ったのと、久しぶりに外に出た刺激も手伝ってラーメン屋に寄り、ラーメンと餃子を注文した。
大盛ではなく並みのラーメンを注文したのだけれど、感じていた空腹よりも量が多かったため満腹になった。

自宅に車を置いて、病院に戻って来たのが午後4時。

看護師さんに戻ってきた報告と、理学療法士にキャンセルしたお詫び。
5時半の夕食までにはまだ少し時間があるけれどおなかは満腹。

ベッドに横になると居眠りをしてしまい、目が覚めたときには食事のはじまる時間は過ぎていて、患者の中では一番最後に食べ始める事になる。ラーメンと餃子がまだおなかに残っているため、食べるのも遅く、看護師さんが他の患者の食器を引き上げてしまう中最後まで残って冷めたミートボールの八宝菜を詰め込んだ。

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