2009年7月25日土曜日

大腿骨骨幹骨折

午前5時起床。
仕事絡みのネットの情報を確認し7時にトースト3枚の朝食を済ませる。
タイヤに空気を入れチェーンの汚れを拭ってオイルを注す。
サイコンとハートレイトモニタをリセットしてスタート。
宇治橋から天ヶ瀬、立木観音から南郷を東に渡ってさざなみ街道を北上。
琵琶湖大橋。
琵琶湖大橋を西に渡って堅田から161号線を坂本へ。
坂本から比叡山の山中越えを登って比叡山ドライブウェイの料金所を過ぎた下り坂、そこまでノンストップで2時間半約80キロメートル走行の疲労とここまで快調に走れてきた高揚感といつになく早く登れた山中越えの坂道の達成感がいわゆるサイクリングハイの状態をもたらしていたのかもしれない。
料金所を過ぎて京都に向かう下り坂。
ブレーキに指をかけることもなく下っていく。
ブレーキ操作を全くしなかったのはサイクリングハイの症状かと今になって思う。
前方に右カーブ。
道路の左端にはコンクリートブロック。
ブレーキをかけるという判断もできないままあのコンクリートブロックにぶつかるのかと刹那に思いながら激突。
スピードを出し過ぎて右に曲がるカーブを曲がり切れず車道の端の高さ1メートルほどのコンクリートブロックに激突。
激突した瞬間バキという大きな音がしたのは自転車の音と思ったけれど今になって思うと大腿骨が真っ二つに折れた音と思われる。
激突して体は歩道に投げ出され自転車は車道に残った
もっとも自転車だけが車道に残っていたのはあとからわかったこと。
着地したときは頭に衝撃も感じず視界もはっきりしてたので大事にはならなかったと安堵して立ち上がろうとすると足が動かない。
見ると右足首の先はあらぬ方向に向いていて動かそうとしても動かない。
折れたかなと思ったけれどそれほど痛みはない。
動けないのでジャージの後ろのボケットから携帯を取り出し電話をかけようとするが圏外。
車道を走る車の屋根だけがコンクリートブロック越に見えるので大声で「たすけて~」と叫んでみるが反応は無し。
数台がコンクリートブロックの向こう側の車道を屋根だけ見せて通り過ぎて走っていく。
コンクリートブロックに遮られて歩道に倒れている負傷者は車の運転席からは見えない。
少し痛みを感じ始める。
助けを求めることも出来ないのかと焦躁。
どれくらいの時間が経ったのかよくわからない。
痛みはそれほどでもないのに意識が朦朧とし始めたとき顔の上から「どうしました大丈夫ですか」という女性の声を聞く。
声の主の顔を見ようとするが上から覗き込む顔は空の明るさの逆光になってみえない。
「救急車をお願いします」とかろうじて言う。
このあたりからの記憶は曖昧で断片的になってくる。
しばらくすると男性の声も交じっている。
女性が男性に対してここは携帯が繋がらないのでもう少し坂を降ったところにコンビニがあるのでそこから電話をして救急車を呼んでもらえますかというような会話が聞こえる。
視覚の記憶はこのころから殆ど残っていない。
救急車を呼んで来てくれたらしい男性が自転車を自宅に届けますからというので住所を答える。
視界の端に車道から歩道に移動してくれたらしい自転車が見えるが損傷の程度はわからない。
事故を起こした場所は大津市の管轄らしく大津市の消防局の救急隊が峠を登って向かってくるらしいことが聞こえてくる会話でわかる。
しばらくするともう一人女性の声が増えている。
昔救急にいたとことがあると言っている。
「骨折している」
「応急処置が必要」
という声が聞こえる。
どんな応急処置がされたのかなにもされなかったのかよくわからない。
サイレンの音が聞こえる。
救急隊が担架に載せてくれる。
折れている足を出来るだけ動かさないように苦労してもらってるが体が動かないので協力することもできない。
救急車のベッドに乗り込んでもすぐに出発するわけではない。
住所、名前、生年月日、連絡先等の質問をされる。
酸素マスクごしに荒くなってきている呼吸の間を縫って応える。
搬送先の病院をどこにするか検討してもらってる。
大津の赤十字、音羽病院、京大病院等の声が聞こえる。
峠を戻って坂本から西大津バイパスを通って山科の音和病院が一番早いし住所も近いのでいいのではとの結論。
京大病院なら父も入院しているのでいいかもしれないと思ったけれど口を差し挟まなかった。
ようやく出発した救急車にはいつの間にか警察官も乗り込んでいて身元の確認、事故の状況について質問してくる。
フレームに貼付けてある防犯登録の番号を無線で伝えているのが聞こえる。
酸素マスクごしに応える声はかすれて絶え絶えになる。
自転車は前輪を外して救急車に積み込んだけどよかったですかと聞かれる。
ホイールのクイックリリースなのでいつでも付けられるんですとう説明は省略して「はい」とだけ承諾する。
現場で自宅まで届けてくれるという男性の好意はありがたかったけれど不要な迷惑をかけずに済んだ。
山中越えの峠を登る前に坂本でボトルのアクエリアスを一口飲んでから補給してなかったので喉が渇いている。
警察官の質問が終わったところで何か飲みたい、自転車のフレームにボトルが付いていると思うのでそれを飲ませてほしいと頼むが病院に着いてからの検査があるため我慢してほしいといわれる。
救急車の天井しか見えないなか今から西大津バイパスです、あとトンネン2つでバイパス終わりです、バイパス出ました、もうすぐ病院です、着きました、と救急隊員が話し掛けてくれるのは安心感が得られる。
雨が降っている音が聞こえる。

救急車から降ろされERに運ばれる。
天井しか見えない移動。
沈痛剤の急速点滴を開始。
足の痛みは激しい。
呼吸も荒く酸素マスクは病院のものに付け替えられる。
ハートレイトモニタのセンサーを外しジャージをはだける
点滴袋をぶらさげたままレントゲンとCTの撮影。

ERに戻りレーサーパンツをハサミで切って脱ぐがされる。
高いものやろうけどゴメンネと看護士が謝っているが謝られる筋合いではない。
レーサーパンツが切り裂かれてこの時全裸の状態。
両足の膝の辺りに局部麻酔が打ち込まれてるらしい。
動けないので視線を向けることもできない。
チクリチクリと痛みが膝に走る。
続いて何か措置されているらしい。
折れている骨に重しを付けて牽引するので足に重しを付ける穴を空けますねと説明されたが理解できず「はい」としか応えられない。
この処置が終わったところで一段落。
入院の部屋の確保や手続きをしますと言われて待たされる。
断続的に誓約書めいたものにねたまま署名。
説明は受けてそのときは納得したけれどもどんな書類だったのか内容は覚えてない。
しばらく待たされる内に鎮痛剤が効きはじめたのか痛みは緩和されてきた。
家族に連絡できますかというので番号を押して携帯を渡す。
右足の大腿骨骨折と打撲・擦過傷。
左足の擦過傷と創傷。
幸い骨盤より上半身は無傷。
大腿骨にチタンの棒を埋め込む手術を行い固定後リハビリ治療
入院1ヵ月。
通院リハビリ2ヵ月の見込み。

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